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チャオのこと10

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 チャオへ


昨日からの続きだから長くなるけどちゃんと読んでくれよな!

(≧∇≦)



あの日 お前は朝から食べ物はもちろん水も飲まなくなった

瞬きすらできなくなってさ

そのかわり乾ききった眼球が引っ込んだり戻ったりと そんな様子だったよ


お互い口には出さずともお前の命がもはや風前の灯だということは俺もなっちゃんも充分過ぎるほど感じていた


少し日が傾きかけた頃

お前の隣で添い寝しながらウトウトしていたはずのなっちゃんが

「のぶさん   ねえ のぶさん      来て」

と 静かに でもはっきりと言ったんだ

別の部屋でギターを弾いていた俺は確信したよ

とうとうお別れの時が来たんだなって


急いでお前のいる部屋へ行くと

「お腹が動いてない」
俺の顔を見ずに言うなっちゃんの声はとても落ち着いてた

力なくぐったりとした そのくせまだ柔らかく暖かい身体を抱き上げ「チャオ おつかれさん」という俺の言葉を黙って聞いてたわ

慌てるでも取り乱すでもなく ましてや泣きじゃくることもなく 俺に抱きかかえられたアバラが浮いた細い身体を何も言わず優しく優しくそっとさすった
何度も何度もさすった
時間が止まる というのはこういうことを言うんだなと思ったよ

お前の身体をそっと元の寝床に戻し 俺は急いで棺代わりになる箱と花を買いに近所のホームセンターに車を走らせた
運転中 不思議と涙は出なかった
なぜか悲しいという感情はなかったんだ
心に浮かんだ言葉は「おつかれさん ありがとう」のたった二つだけだったよ
それを何度も何度も念仏のように繰り返すだけだった

帰りがけコンビニでしこたま氷を買い込んで箱の底に敷き詰め その上に毛布を敷きお前を寝かせたよ
「冷たいだろうけど我慢してね」
そう話しかけたなっちゃんは少しの間お前の身体を眺めたり そっとさすったりした後 思い立ったかのように勢いをつけて立ち上がると台所でさっき俺が買ってきた花をハサミで切り始めた

しばらくしてタッパーに切り分けた花を一つ一つゆっくりと 丁寧に 優しくそっとお前の身体の周りを囲むように置いてったよ
 少しでもお前が綺麗に見えるように まるで難解なジグソーパズルをする子供のような顔で慎重に敷き詰めていったんだ

その時ちょうど仕事を終えた集も帰ってきてね
お前の頭を撫でながら何も言わずその作業を黙って眺めてたっけ
そんな光景をよそに俺は外に出た

お前と一緒に毎日歩いたいつもの草むらに行き ボーボーに生えてる名も知らない花と勝手に生い茂るミントの葉っぱを千切ってきた

せっかくなっちゃんが綺麗に飾ったお花には似つかわしくないかもしれないけど 俺はミントの葉っぱを適当にばら撒き 箱の周りに雑草の花をいい加減に刺した

ほら このコントラストがミスマッチでありつつもなんだか賑やかでお前らしくていいだろ?(≧∇≦)
アップルミントとやらのいい香りが漂ってたぜ

これで少しは外にいる気分が味わえるってもんだ

我ながら良いアイデアだと思ったね(≧∇≦)



どうやらコイツらもこの出来事を理解しているように思えたなあ
二匹ともこうしてずっとお前の側に寄り添ってたもん
火葬の手配も夜のうちにみんななっちゃんがしてくれたよ
業者を調べ 電話をし 全ての段取りをしてくれた
申し訳なくも次の日俺は仕事に行かなくちゃならないからお前との最後のお別れはなっちゃん一人で済ませなきゃならないわけだ

一通りの手続きが済むとなっちゃんは寝る前に覚えたてのギターでお前に唄をうたって聞かせたよ
まだまだ数少ない ほんの数曲のレパートリーの中から 美しいメロディーの曲を選んで いつもよりずっと心を込めてうたってた



一夜明け 仕事に向かう前に俺は最後の一枚を撮ったんだ
うん いつ見てもやっぱりお前は男前だな‼︎
中身のオトボケっぷりとは裏腹に(≧∇≦)


通勤の道すがら 俺は初めて泣いた

前が見えなくて運転が困難になるほど そして大声を出してオイオイ泣いた
それは突然襲ってきたと思ったら何度も何度も繰り返しやってきた

でもな

だからといってこんなに早くお前に逢いに行くわけにもいかねえから事故らないよう必死だったぜ(≧∇≦)


店に着いてからなっちゃんに連絡して 最後にあの草むらで太陽の光を浴びたお前の姿を写真に撮ってもらうようリクエストしたよ

うんうん 
やっぱりお前にはこの場所が そしてお日様がよく似合う


その後火葬場でも一枚
こうやってなっちゃんは仕事中の俺に逐一写真を送ってくれたんだ

おかげでなんだか俺もお前の最後の瞬間に一緒に立ち会えたような気分になれたよ
うん 最後の最後までいい男だ
そしてやはりお前には花がよく似合う

俺の携帯番号と[チャオ]と名前が書かれた水色の首輪は形見としてずっと大事に取っておくからな!


年老いたお前のことだから焼いたら骨はみんな粉みたいになっちゃうんじゃないかと覚悟はしてた

でもほら

見てみろよ‼︎
こんなにしっかりとカタチが残ってら
俺はね

生まれて初めて骨を愛おしいと感じたよ

細かな骨の 一つ一つ
全てが心から愛おしくてたまらないと思った

なんて可愛い骨なんだ

純粋にそう思った




仕事が終わり家に帰るとすでにこんなに綺麗に飾られてたぜ

何枚もの写真とお花とあの首輪 そしてお前の骨だ

なんだかまるでお前がここにいるみたいな気持ちになれる ささやかだけど綺麗な祭壇をなっちゃんが作ってくれたんだ

 



 

これはお前が生きている時に俺が撮った最後の写真だよ
彼女の髪がまるでお前がカツラを被ってるみたいに見えてゲラゲラ笑いながら撮った一枚だ(≧∇≦)


なっちゃんはね  俺が仕事から帰ると寝たきりで別の部屋にいるお前を毎晩こうして抱き抱えリビングのソファに座り「チャオくん♪  チャオくん♪」と呼びかけながらまるで自分が生んだ可愛い赤ちゃんを誰かに見せびらかすように俺の前へと連れてきたんだ



なっちゃんは最後の瞬間まで本当によくやってくれたよ


24時間 365日 いつもお前のことを考えていた



何かあればすぐに病院に連れていった


手術をした時はお前が傷口を舐めないようお手製の腹巻を作った 

しかも悲壮感が漂わないようヒョウ柄だったよ「カッコいいでしょ?」なんて得意げだったっけ(≧∇≦)


歩けなくなったらこれまたお手製の介護用ベルトを作ってな お腹を優しくホールドし下半身をサポートして無理なく歩けるよう工夫しては何度も何度も作り直したりした


散歩の時間までウンチやオシッコが我慢できなくなった時はオムツも色々試してね

最後は人間の赤ちゃん用のものに尻尾を通す穴を開けるってことに落ち着いた

ひとつひとつ穴の場所を丁寧に正確に ハサミでVの字に切り込みを入れてたよ


オムツが当たる足の付け根が擦れてキズになったと思えばペットシートを小さく切って挟んで少しでも痛くないよう滑りが良くなるよう工夫した


自力で水が飲めなくなった時 最初はスポイトで飲ませていたのを霧吹きに変えることでより効率よくお前が飲めることを発見した


食べ物もあれこれ考え 少しでもお前の負担がないようあの手この手で食べさせた


痴呆による徘徊が始まった時は人間の赤ちゃん用のサークルを調達してきてな

壁にぶつかっても怪我をしないようクッション性の高いマットを周りに張り巡らせた


ぶつかって倒れた時頭を打って脳しんとうを起こすとわかれば首にドーナツ枕を巻いて防ぐことを編み出した


喉が渇いたり 寝返りを打ちたくなったりして毎晩数時間おきに吠えるからその度に起きてお前の要求に全て応えた

いくら目覚ましのアラームが鳴っても起きないのにお前のたった一吠えで必ず起きてたよ


酷い下痢が続き 排泄の度にベチャベチャに汚れるお前の身体を毎回慈しむように 鼻歌を歌うように「チャオくん♪  チャオくん♪」って言いながらシャワーで丁寧に洗ってあげてた

一日何度でもそうして洗ってあげてたよ

 





とにかくなっちゃんは持てる愛情を惜しむことなくお前に注いだよ


自分の全てをお前に捧げたんだ











その深い深い愛に俺は感服した










お前の一生はなっちゃんによって穏やかで安らかなものになったんだよ




「チャオくん♪  チャオくん♪」


どうかあの声を 

あの声に込められた想いを忘れないでやってくれよな
















 

もう少しだけこの手紙に付き合ってくれ








チャオ



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