チャオへ
お前と初めて会った日のことは今でもハッキリ覚えてるぜ
あの雨の日以降 街中を巻き込んでずいぶんドラマチックでお騒がせな日々だったっけな(≧∇≦)
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全6話
我が家にやってくる前の暮らしを人づてに聞いたけど もしあれが本当の話だったとしたら お前もなかなか大変な思いをしてきたんだな…
うちに来てからの生活はどうだった?
最初は先輩犬ふくの厳しい指導が何度もあったっけね
ふくのエサまで食べようとして物凄い勢いで怒られたりしてさ
鼻から血をダラダラ流してたっけ(≧∇≦)
ま そりゃそうだよ
他の犬と一つ屋根の下に暮らすのなんか初めてだったんだからルールも何もわかんないもん
仕方ないわな
オマケに先輩猫てんちゃんにもいっつもからかわれて遊ばれてオモチャみたいにされてたっけ(≧∇≦)
お前が一番歳上で唯一のオスだったけど三匹の中では身分は一番下という階級みたいなもんができたことに俺は最初少しだけ違和感を覚えたんだ
でもお前ら動物の中に自然とそういう決まりができたんだと それが一番落ち着くんだとすぐに理解し納得したよ
そういや最初の頃はほんの小さな音にもいちいちビクーッっとしてさ
そんなに驚くこともねえだろ…っつうくらいオーバーリアクションでな(≧∇≦)
なんに対してもいつもビクビクしてたけど 日を追うごとに徐々に慣れていってリラックスして過ごすようになったよな
人間に甘えるってことも知らなかったっけ
撫でられても抱きしめられてもなんだかいつも困ったような顔してたわ
それがいつの日か自分から手の下に鼻を突っ込んできて撫でろ撫でろと催促までするようになった
あの時初めて「あぁ やっと俺たちを家族と認識してくれたんだなぁ 安心してくれてんだなぁ 信用してくれたんだなぁ」と嬉しく思ったっなあ
最初に病院に連れて行った時 先生はお前のことを「9歳か… 10歳か… そのくらいだと思います」なんて言ってたよ
俺は正直 そんなバカな! って思ったんだ
だって そのくらいお前は年老いて見えていたんだから
ヨロヨロして歩くのもやっとだったのが毎日ふくと一緒に1日3回 欠かさず散歩をしてるうちにメキメキ若返っていく姿も嬉しかったぞ
見る見る身体は引き締まり体力もついていった
その後はなんでもかんでもふくの真似をしてさ
ふくが走れば追っかけて走り ふくが匂いを嗅げば一緒になって同じ場所の匂いを嗅ぐ
段差からジャンプするのは最初怖がってたくせにふくがやってるのを見てお前もできるようになった
長い急な階段も登り降りしてた
今思えばあの時たしかにまだ10歳前後だったんだね
今 ふくがちょうどあの頃のお前の歳になったよ
目が見えなくなったのはいつ頃だったっけ?
それでもお前はへっちゃらで つまづいたりぶつかったり 時には足を踏み外して側溝にハマったりしながらも暑い日も寒い日も雨の日も風の日も台風の中も毎日元気に ホントに楽しそうに歩いてたよね
とにかく外が好きだったんだよな
風とか日差しとかいろんな匂いがさ
ある時大きな手術をしたじゃん?
お腹をバッサリ切ってさ
すでに高齢だったこともあり あれはさすがのお前でも堪えたみたいだったな
自分の力で歩くことも難しくなってた
それでもお前からは「歩くんだ‼︎」って意思を全身からビンビン感じだぜ
だから俺は毎日お前を支えて無理矢理歩かせた
きっと傷口は痛かったろうと思うよ
でも お前はヘコタレずに前へ前へと歩いたもんな
そうしてまた元気に歩けるようになったんだ
たいしたもんだよ 根性あるよな
あの頃俺はお前のことを[不死身のオトコ 完全復活!]なんて面白おかしくみんなに言いふらしたっけ(≧∇≦)
俺の自慢だったからな!
あの一件はたくさんの人がお前のことを心から心配し応援してくれたんだぜ
うちにはしょっちゅういろんなやつが泊まりに来てたろ?
日本中にいる俺の大事な友達だ
ふくは引っ張る力が強いから俺が担当 あいつらは犬の散歩に慣れてないやつも多かったからもっぱらおとなしいお前の担当だった
数えたことはないから正確にはわからないけどきっと何十人ものやつらに散歩してもらったんだぞ
幸せもんだな
しかもそいつらみんなお前のウンチも拾ってくれてたんだぜ(≧∇≦)
ありがたいよなぁ
俺はと言えばそのシーンを写真に撮ってブログに載っけたりそいつらに送りつけたりして遊んだんだよ(≧∇≦)
日に日に痩せ 一人では歩くこともままならなくなっていくお前の姿は俺にとって認めたくないものだった 胸が詰まるおもいだった
それでもお前は弱音も吐かずに毎日歩いた
大好きなふくと一緒に行けなくなってからも 俺の手に支えられながらとにかく前へ 一歩でも前へ 草むらに足を取られ倒れながらも進もうとしてたっけ
目は全く見えなくても どっかの犬のオシッコの匂いを嗅いだりしてさ
そうそう お前はよく花の匂いも嗅いでたわ
どんなに年を取っても痩せてガリガリに変わっちまっても花が似合うオトコだったぜ
だから俺はしょっちゅうお前と花の写真を撮ったんだよ
その白い毛と季節ごとの色とりどりの花がとてもお似合いだったからな
とにかく俺はいつも留守がちで普段も帰りが遅い
だからお前と充分な時間を過ごしてやることができなかったわな
それは本当に申し訳ないと思ってるよ
今 こんなことを言ったって仕方ないけどさ…
お前が去ったあの日 あの瞬間
実は俺は冷静だった
心の準備はできていたからね
お前のことだからきっと俺の夏休みの三連休のどこかを選ぶと思っていた
案の定粋なことをしてくれたよな
なんたって最終日だもんな
あの日は朝から水も飲まなかった
とうとう来るべき時が今来たんだなと思った
急いで棺代わりの箱と花と氷を買いに行ったよ
うん すごく冷静だった
写真もたくさん撮ったよ
自分でも驚くほど冷静にね
でもな
日を追うごとに柄にもなくおセンチな気分になってきてるよ
一人になる度お前との日々を思い出してはこっそり泣いたりしてんだよ
誰にも見られないようこっそりな
今もこうしてお前への手紙を書きながらとめどなく流れてくる涙と鼻水に辟易してるよ
どうだ? 笑っちゃうだろ?(≧∇≦)
とにかくお前は可愛かったよ
ドジでマヌケでいつもすっとぼけててさ
そんなところがたまらなく可愛かった
とてつもなく可愛かった
そして 健気でひたむきで一生懸命で 根性があった
そんなお前の姿は俺にたくさんのことを気付かせ教えてくれた
みんなはこういうよ
「チャオはのぶさんちで暮らせて幸せでしたね」って
でもな それは違うと思う
逆なんだ
それはこっちの台詞なんだよ
たった7年間という短い時間だったけど俺たちはお前と出会えて 一緒に暮らせで本当に幸せだった
お前からはたくさんのことを学ばせてもらった
俺とお前は男同士心を通わせることができたと思ってる
だから一言だけ言わせて欲しいんだ
「ありがとう」
あ…
どうせお前のことだからこんな湿っぽいのは嫌いだろ?
心配すんな
このシリーズを書き終えることで俺の気持ちを一区切りしようと思ってる
だからもう少しだけ付き合ってくれよな
チャオ‼︎
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